「いいですよ」
即答されて、面食らった。
「え、だって悪戯だよ。いいの?」
「ええ。先輩からどんな悪戯されても、僕がしっかり受け止めます。そのぐらいで動揺するほど、器は小さくないつもりですし」
梓君は両腕を広げた。
「さあ先輩、どんな悪戯、してくれます?」
「え?」
そのまま一歩近づいてくる。思わず私は一歩下がった。
「ねえ、先輩? どんな悪戯ですか」
上目遣いにのぞき込むようにしながら、梓君がまた一歩近づいてくる。
その極上の笑顔で迫られたら、もう負けを認めるしかない。
「…うう、降参です……」
「そうですか。残念です」
ちっとも残念そうな様子もなく、梓君が言う。
「じゃあ、代わりに僕が悪戯してあげますね」
「どうしてそうなるの!?」
「僕がしたいからです。ダメですか」
「ダメー!」
言われた言葉に赤くなったり青くなったり。ジェットコースターに乗っているみたいだけど、楽しそうに笑う梓君を見ていると、こっちまで楽しくなってく
る
から。
「先輩、一緒に帰りましょう」
「うん!」
差し出された手を握って、二人で笑った。