ハッピー・ハロウィン!〜宮地龍之介〜

「宮地君。トリック・オア・トリート!」

「む。…なんだ、それは」
 怪訝そうな顔を向けた宮地君に、私は説明した。
「知らない? ハロウィンだよ。えーと、外国の行事でね、…ほら、カボチャの飾りとか見たことない?」
 その言葉で、何となく分かったらしい。
「ああ、そういえば購買でもそんな飾り付けがしてあったな」
「それでね。『トリック・オア・トリート』は、お菓子をくれなきゃイタズラするぞっていうことで、言われたときにお菓子を持っていないと悪戯されちゃうん だよ。宮地君、何かお菓子持ってる?」
「いや、…持っていない」
「ええっ」
「なんでそこで驚くんだ」
 驚いた私を見て、宮地君は憮然としている。
「だって、あんなに甘い物好きなのに」
「普段食べることと、菓子を持ち歩くことは違うだろう」
「ふーん、そんなものなの?」
 チョコとか飴とか、ちょっとしたお菓子を持ち歩きたい私にとっては、宮地君の言葉の方が驚きだ。
「じゃあ、悪戯しちゃおうかな」
「い、悪戯って、お前…」
 少しひるんだ宮地君に、すまして言い返す。
「だって、宮地君、お菓子持っていないんだよね」
「む。……具体的には何をするんだ」
「え、何って?」
「悪戯するんだろう。何をするんだ?」
「それは、その……。えーと」
 こうして改めて聞かれると、答えに詰まる。
「なんだ。まだ決めていなかったのか」
「だって、こんな風に聞かれるなんて思ってなかったんだもの…」
 うう、ちょっと間抜けだったかも…。
「ふ…、仕方ないな。お前、今時間はあるか」
「あ、うん。大丈夫だけど」
「じゃあ、一緒に来い」
「え、どこへ行くの?」
「食堂だ。今日は限定メニューのカボチャのムースとプリン、特製パンプキン・クリームパイが出ている」
「ええっ、ホント!?」
 思わぬニュースに、自然と目が輝いてしまう。
「あとで誘おうとは思っていたが、ちょうどいい機会だからな。それで行くか、行かないのか?」
「行く!」
「現金な奴だ」
 そう言いながら笑う彼と一緒に、私は弾んだ気持ちで走り出した。








あとがき
 愛が高じて、突発的に書いてしまった初書きスタスカSS第二弾。時期をきれいに外したハロウィンもの。あの食堂なら、ハロウィンは限定メニューがあると 思います。宮地はきっと昼にも食べてるけど、嬉々としてまた食べるに違いないよ! 
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