少し深めのフライパンに油をしき、コーンと塩少々を入れた。火にかけて温めながらコーンを炒め、ふたをしてフライパンを揺すると、ポンポンと盛大
にコーンがはじける音がし始めた。
「ひゃっ」
大きな音に驚いて、こむぎはびくっと体を震わせた。耳を押さえて後ずさりする。
「ちびむぎ!?……あ、そうか」
麻生は慌てて膝をつくと、こむぎを胸に抱え込んで片手で耳をふさいだ。
「大丈夫だ、すぐ終わるから。怖くねえぞ」
繰り返し耳元であやしながら、片手を伸ばしてフライパンを揺すり続けると、間もなく音が聞こえなくなった。
「よーし。ちびむぎ、もう大丈夫だ」
麻生の声に、こむぎがおそるおそる目を開けると、香ばしい匂いと共に、フライパンの中にはふっくら膨らんだ白いポップコーンの山。
「うわあ、おいしそう! ありがと、あさきおにいちゃん」
「たくさん食べろよ。どうだ、怖くなかっただろ」
得意げに笑う麻生に、こむぎが無邪気に笑って言った。
「うん! おにいちゃんがだっこしてくれたから、むぎこわくなかったよ。まただっこしてつくってね」
「え?……あ、ああ」
柄にもなく真っ赤になりながらも、麻生はくしゃりと笑ってこむぎの頭を撫でた。
怖がらせたりしねえから。いつだって、ちゃんと守ってやるよ。