ポップコーン

「おにいちゃん、あさきおにいちゃん」
「よう、ちびむぎ。どうした?」
 勢いよく走ってきたこむぎを、麻生はしゃがんで抱きとめた。
「あのね、むぎ、ポップコーンがたべたいの。おにいちゃん、つくれる?」
 満面の笑顔で頼むこむぎに、麻生も思わず笑った。
「ああ、いいぜ。作ってやるよ。……よいしょっと」
 こむぎをひょいと抱き上げた麻生は、台所へ向かった。

 少し深めのフライパンに油をしき、コーンと塩少々を入れた。火にかけて温めながらコーンを炒め、ふたをしてフライパンを揺すると、ポンポンと盛大 にコーンがはじける音がし始めた。
「ひゃっ」
 大きな音に驚いて、こむぎはびくっと体を震わせた。耳を押さえて後ずさりする。
「ちびむぎ!?……あ、そうか」
 麻生は慌てて膝をつくと、こむぎを胸に抱え込んで片手で耳をふさいだ。
「大丈夫だ、すぐ終わるから。怖くねえぞ」
 繰り返し耳元であやしながら、片手を伸ばしてフライパンを揺すり続けると、間もなく音が聞こえなくなった。
「よーし。ちびむぎ、もう大丈夫だ」
 麻生の声に、こむぎがおそるおそる目を開けると、香ばしい匂いと共に、フライパンの中にはふっくら膨らんだ白いポップコーンの山。
「うわあ、おいしそう! ありがと、あさきおにいちゃん」
「たくさん食べろよ。どうだ、怖くなかっただろ」
 得意げに笑う麻生に、こむぎが無邪気に笑って言った。
「うん! おにいちゃんがだっこしてくれたから、むぎこわくなかったよ。まただっこしてつくってね」
「え?……あ、ああ」
 柄にもなく真っ赤になりながらも、麻生はくしゃりと笑ってこむぎの頭を撫でた。

 怖がらせたりしねえから。いつだって、ちゃんと守ってやるよ。






あとがき
 こむぎ話二つ目です。今度は麻生。麻生を書くのはコレが初めてですよ! ネタがすんなり浮かんだので、困りませんでした。麻生は、子どもの扱いが上手そ う です。「ダチに子どもがいるヤツがいるから」というのもあるんだろうけど、もともと子どもの目線に立って対等に話すのが上手そうです。一緒に遊んだりする のもね。 精神年齢が……というツッコミは入れませんよ(笑)
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