今日は朝から彼女がそわそわしている。とても分かりやすくて笑っちゃうんだ。

エイプリルフールの彼

 僕の彼女は、とっても可愛くて家事が上手いがんばりやさん。すごく真っ直ぐで何でも信じちゃうから、つい悪戯し たりからかったりしちゃう。その度に怒ったり真っ赤になったりするところが、また可愛いんだ。

 4月1日の今日。絶対彼女から何か仕掛けてくると思ったら、
「お出かけしない?」
なんて言い出した。普段なら、絶対自分からは言い出さないくせに。何か企んでるのが見え見えで、おかしくってしょうがない。試しにちょっと渋ったら、上目 遣 いで僕を見上げておねだりするから、かなりグッときた。
 ふふ。こんなお願いして、僕が見逃すと思ってるの?悪戯やからかいは僕の専売特許なんだから。後悔しないでよ。

 出かける支度をするからと、慌てて二階へ行った彼女の足音が、部屋の前で止まった。ドアの音はするのに、他の音は聞こえない。全ての音が音楽とし て聞 こえる僕には、君の足音はすぐ分かる。僕の耳はごまかせないよ。

 ふうん、部屋に行ったと見せかけて、外へ先回りするつもりだね。

 僕は、リビングにあった大きめのメモ用紙に、サインペンを走らせた。リビングから出て、羽倉が部屋から出てきたところへ、階段上からメモを見せ る。
『部屋のすみの箱を見てみなよ。静かにしないと起きちゃうからね。』
 顔色を変えた羽倉は、それでもいつもより静かに部屋へ戻っていって。僕はその音に紛れて外へ出た。

 君はどんな顔でここに来るのかな。
 待ち遠しくて仕方がない。

 きっと自分の悪戯が失敗したことに気づいて、赤くなったり青くなったりするんだ。くるくる忙しく変わる表情が思い浮かんで、僕は思わず笑ってしま う。
 その後は、二人で青空の下をデートしよう。いつもなら恥ずかしがって一緒に歩いてくれない場所でも、ぴったりくっついて、みんなに、僕の彼女だって見せ つけ ちゃおう。君はもてるんだから、ちゃんと虫除けしておかなくちゃね。

 キイッ……。
 ドアノブが静かに回った。

 早く出てきなよ。ぎゅっと抱きしめたいんだから。






あとがき
 『エイプリルフール』のおまけです。瀬伊は、むぎの行動なんか最初からとっくにお見通しだったと思います。で、どう出るのかなとワクワクしながら見てい たんですよ!「馬鹿な子ほど可愛い」ってとこですね。やっぱりバカップル……!麻生の部屋に隠した物は、各自ご想像下さい。(フルキス1の家政婦パート第 一 回の追加お使いを参考にv)
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