目を閉じて10数える。ゆっくり目を開けたら、また満天の星が目に飛び込んできた。
「うわ……。今日もきれい」
「フフ、ホントだ。今日もよく晴れているから」
空一面に広がる星空に、目を奪われる。街明かりよりは小さいけれど、その分きらきら輝く星を楽しんでいたが、案の定すぐに寒くなってきた。
「瀬伊くん、あたし、やっぱりもっと暖かい格好してくるよ」
瀬伊くんに言って、部屋に戻ろうとしたら、
「寒い?」
「ひゃっ」
突然後ろから、コートにくるみこまれるようにして抱きしめられた。ふわりと瀬伊くんの匂いに包まれる。
「これなら、暖かいでしょ?」
「そ、それはそうだけど。でも、誰か来たら……」
声が小さくなる。この体勢って嬉しいんだけど恥ずかしい。
「大丈夫。さっき、鍵は掛けたから」
「え、いつの間に!? あたしが後だと思ったのに」
「この間は、せっかくこんなことできるチャンスだったのに、逃しちゃったもん。もったいなくってさ」
笑い含みの声に、
「もったいなくなんてないよ!」
じたばたしながら答える。
「ほら、じっとして? 星が見ているよ」
その言葉に、あたしの体は思わず動きを止めてしまった。
瀬伊くんにすっぽり包まれた体が、じんわり温まっていく。風が少し出てきた。
「ね。マフラーもしたいな」
「了解」
一つのコートに二人。マフラーも一緒に巻いて。
うん、二人っていいよね。
二人で見上げた夜空に、流れ星が一つ、光って消えた。